現代美術作家 シムラヒデミ 活動20周年記念個展
-Contemporary Fiber Artist Hidemi Shimura 20th Anniversary Solo Exhibition-
糸のように、やさしく、しなやかに。刺繍糸を材料に作品を制作する現代美術作家シムラヒデミの、アーティスト活動20周年を振り返る個展を開催します。
糸は、ハサミで簡単に切れてしまうけれど、手で引っ張ってもなかなか切れない、弱そうに見えて、実はとても強い、そんな不思議な力を持っています。
私たちの心のつながりや、世界との関係も、そんなふうにできているのかもしれません。
シムラはこの20年間、糸を使って作品を作り続けてきました。
カラフルな糸の色のコンビネーション、光の当たり方や角度によって表情を変える作品たちは、一見混沌とした世界の中にある、思いがけない美しさや調和を映し出します。
混沌として見える世界も、少し距離を置いて眺めると、ひとつの美しい風景として立ち現れる。
そんな体験を、是非味わっていただけたら嬉しいです。
会場には、実際に触れて楽しめる巨大ぬいぐるみ作品も展示。
アートに触れる機会が少ない小さなお子様も、視覚だけでなく身体で感じて楽しめる空間を用意しています。
子供も大人も、どんな人でも楽しめるように、20年間の感謝とともに、心をこめてお届けします。
また、「ファイバーアート」という言葉を聞いたことはありますか?
「ファイバーアート」とは、糸・布・フェルト・毛糸などの“繊維(ファイバー)素材”を使って表現するアートのことです。
近年現代美術の分野でも地位を確立しつつある「ファイバーアート」ですが、日本ではまだあまり知られていません。今回の展示はまだあまり馴染みのない「ファイバーアート」というものを大勢の方に直接ご覧いただく機会となれば幸いです。
今回の展示では、壁にかけて楽しむ平面作品だけではなく、インスタレーションや立体作品など、幅広く展示します。入りやすく親しみやすい展示を目指していますので、是非お気軽にお越しいただければと思います。

子供たちが触って楽しめる
巨大ぬいぐるみ作品もあります!
会 期 | 2025年7月29日(火) – 2025年8月5日(火) |
時 間 | 11:00 – 20:00(最終日は19:00まで) |
場 所 | 渋谷ヒカリエ8F 8/CUBE1,2,3 |
料 金 | 入場無料 |
作品と作者について

糸を巻いて作られた作品
彼女は糸という素材を巧みに使いながら、人と人との関係や、人と世界とのつながりといった、私たちを取り囲む世界を表現している。
作品は、アクリル板やアクリル棒に刺繍糸を巻きつけてストライプ状に構成しており、見る角度によって光沢が変化し、写真では伝えきれない繊細な質感や豊かなレイヤーが感じられるのが特徴。
カラフルで表情のある作品
作品は非常にカラフルである一方で、糸特有のやわらかな質感を持ち、糸の光沢と光の関係によって、見る角度ごとに異なる表情を見せる。
作品を近くで見ると、普通は組み合わされることのないような色同士が隣り合っているが、遠くから見ると、無数の色の組み合わせがひとつの美しい世界を形づくっている。これには「世界は雑多で複雑だが、一歩引いて見ることで意外な調和が見えてくる」という作家自身の視点が込められている。


グローバルな視点と幅広い展示経験
大学でファッションデザインを専攻後、3DCGクリエイターとして数年間働き、その後に現代美術作家としての活動を開始。デビュー直後にパリにて個展開催、その後、日本のみならず、中国・台湾、ヨーロッパ、アメリカなど各地で、個展・グループ展・アートフェアなどに参加。作品は各国の美術愛好者にコレクションされている。
2006年から2013年までは上海に拠点を置き、アーティストとして活動していた。それをきっかけに、幅広い考え方や文化の違いを受け入れることができるようになり、その視点を作品制作にも生かしている。
実験的な取り組みにより表現の幅を広げる
無数の糸をピンと張って構成したり、ミシンでびっしりと縫い込んだステッチ模様をつくったりと、様々な技法を取り入れた作品も制作している。
カラフルな作品を中心に制作しながらも、実験的な作品やインスタレーションなど、新しい表現にも挑戦し続け、作品の幅と可能性を広げている。

各作品シリーズご紹介

Silent Invader
「Silent Invader」シリーズは、デビュー以来制作し続けている定番シリーズで、約300点以上の作品が世界中に旅立っています。アクリル板に刺繍糸を巻きつけたものと、バーコードの組み合わせにより出来ている作品です。
刺繍糸の質感と色の組み合わせによる独特のハーモニーにより、人工物と私たちを取り巻く世界の対比を表現しています。
Parallel World
角棒に糸を巻きつけるという進化したテクニックを習得したことにより誕生したシリーズです。
シルクの刺繍糸を巻きつけた透明のアクリル棒と、アクリルミラーを組み合わせることにより、奥行きのある世界=パラレルワールドを表現しています。


Morning Dawn
この”Morning Dawn -朝焼け-” シリーズは、コットンの刺繍糸を厚紙に巻き付けることにより出来ています。
奥行きのある額縁の前面に丸いマットを入れることで、朝焼けの風景・色合いをイメージした作品にまとまっています。
Rhythm of Life
糸を巻き付けたギザギザ部分と、糸を波型にピンと張った部分からなる奥行き感のある作品です。
誰の人生にも起こりうるアップダウンを表現しつつ、すべての人生の美しさを讃える作品です。


Somewhat Beautiful but Damaged
アクリル板と糸の層からなるパーツと、和紙をミシンで何度も縫うという技法によるパーツを組み合わせた作品。
最近の変化が多く混乱した世界に疲れてしまっているすべての人々に捧げられた作品シリーズです。
Tension
上海の取り壊された家のかけらを砕いたものを、糸でピンとつなぎ合わせた作品。
ストレスを感じながらも、人間生活には欠かせない緊張感によって繋がれた人々の姿を表現しています。


Small Voice
声が小さくなってしまい、誰にも話を聞いてもらえなくなってしまった女神の像です。
最近の宗教と信仰心の変化について考えたことをきっかけに誕生したソフトスカルプチャー作品です。
皆さんお気軽に遊びに来てください!

今まで現代美術に興味のなかった方、興味はあるけどギャラリーは入りにくい、などの理由で展示を見に行く機会がなかった方も、実物を見ないと分からない質感や空気感を体験しにぜひお気軽にご来場ください!
展示スペースは広くゆったりとしていますので、ご家族連れや車椅子の方なども歓迎いたします。
ご来場の方全員へ、ささやかな贈り物もご用意しています。
現代美術作家 シムラヒデミ
現代美術豆知識

Q 現代美術ってなんですか?
今を生きるアーティストたちが、「今の時代」をテーマに自由に表現したアートです。
見た目の美しさだけでなく、社会や自分自身への問いかけ、感情や記憶、時代背景などを作品に込めていることが多いのが特徴です。
Q アート作品ってどうやって見るの?
正解はありません。まずは「なんだか気になる」「キレイ」「変わってる!」など、感じたことを大切にしてみてください。
アーティストの意図を知るのも楽しいですが、自分なりの見方でOKです。それがアートの面白さでもあります。


Q この作品、どうやって作ったんですか?
素材や技法はそれぞれの展示作品の近くやウェブサイトに説明があります。
また、展示スタッフに聞いてもらえれば、お答えできる範囲でご案内します。作り方を知ると、作品の見え方も変わって面白いです。
Q ファイバーアートって何?
糸・布・フェルト・毛糸などの“繊維(ファイバー)素材”を使って表現するアートのことです。
昔ながらの手芸や織物の技術を活かしながら、現代的な感性で作品を作ります。壁に飾るものだけでなく、立体や空間全体を使った作品もあります。


Q インスタレーションって何?
展示空間全体を使って作品を“体験”してもらうタイプのアートです。
絵や彫刻のように「ひとつのモノ」を見るというより、音・光・空気・素材など、さまざまな要素が組み合わさり、その場にいること自体が作品になります。
Q ミクストメディアって何?
“いろんな素材や技法を組み合わせて作るアート”のことです。
たとえば、絵の具と布、糸、写真、アクリル板などを一緒に使ってひとつの作品を作る、といった方法です。自由な発想で表現の幅が広がります。

最後までご覧いただきありがとうございました。
展示会場でお待ちしています!