アーティストがお金を払う必要がある展示・コンペ・出版物-プロのアーティストは貸し画廊では展示しない!

なんかアーティストがお金を払って参加するタイプのとあるアートフェアがよくメールを送ってくるので、怪しいと思って調べてみたら偶然よく参考にしているサイト http://www.artbusiness.com/artist-pay-to-play-list.html の記事に名前があって、やっぱり!と思いました。

貸し画廊が多い日本でこういうことを言うのはちょっと憚られますが、「プロのアーティストは展示のためにお金を払うことは絶対にありません!」つまり、場所代を払ってギャラリーを借りることはしないという事です。

海外では貸し画廊を借りるのはアマチュアのみで(例えば趣味の絵の会とか)、プロのアーティストはコマーシャルギャラリー(商業画廊・企画画廊)でのみ展示をします。

海外にもまれに貸し画廊タイプのギャラリーはありますが、(Vanity galleryとか Pay to play galleryなどと呼ばれます)地元のアーティストたちはどのギャラリーがそういうギャラリーなのかよく知っているので、そういう人が経歴を見ると「あ、この人お金払って展示に参加したのね。」とバレてしまいます。

上海でもそういう日系のギャラリーがあったのですが、貸し画廊と知ってる人からは「あー、あのギャラリーね…」みたいな扱いでした。

しかし、日本の場合貸し画廊でも企画展をやったりするので判断基準がちょっとややこしいですね。

http://www.artbusiness.com/artist-pay-to-play-list.html によると、とにかく参加する前に参加することによって費用に見合うだけの効果が見込めるのかどうかを調べてよく検討することだそうです。

費用も最低で100ドルくらいから上は数千ドルまで(例えば、参加に必要な送料や交通費、宿泊代なども入れると)色々あるし、時々アートコンペを開催したりして魅力的に見えるオファーを提供したり、あの手この手でお金を出させようと頑張ってきます。

こちらに詳しいリストも載ってるので、もしこういうお金を払って参加するタイプのイベントからメールが来たりした場合名前をチェックすると良いです。

こちらのリストになかったとしても、新手のものかもしれないので参加前にネットなどで調べたほうが良いです。

お金を払うコンペ全部がいけないというわけではなく、数千円程度の良心的な価格なら全然問題なしだと思います。

私的には作品1点出すのに1万円以上かかるようなのは参加はご遠慮します。あと、結局賞金もその集めたお金から出るわけですから、まるで大勢のアーティストが一部の入賞者のためにお金を払っているかのような、アーティストのヒエラルキーを決定するような仕組みは私は嫌いです。

現代美術作家 シムラヒデミ
主に刺繍糸を素材に作品を制作するアーティスト。大学でファッションデザインを専攻、卒業後3DCG制作の仕事に就く。
2005年より現代美術作家としての活動を開始。デビュー直後にパリで個展を開催する等順調に海外での活動を広げる。2006年より社員旅行をきっかけに好きになった街、上海へ移住。それほど長く住むつもりではなかったものの、リーマンショックによる画廊閉鎖など予想外の展開に翻弄され、7年近く住んでしまう。
2013年12月日本帰国、埼玉県所沢市在住。引き続き現代美術作家として活動。現在、2025年のアーティスト活動20周年の為に作品を作り溜めている。

このブログではアート・文化・歴史に関する考察、自身の活動報告等を投稿しています。
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