冬眠用ハンモック  Hidemi Shimura

冬眠用ハンモック  Hidemi Shimura

インスタレーション

約180×180×200cm
1996/9/16~97/1/24制作(卒業制作)
1997/1/25~1/27展示
素材:シリコン、スポンジ、布、わた、石膏、木、毛糸、紙、など

なぜハンモックなのか?

ハンモックとは不思議なものである。ただ一枚の網や布から作られ、「体を覆う」という点では衣服のようであり、「寝るためのものである」という点ではベッドのようでもある。つまり、衣服とベッドとしての機能を一身に背負っている優れものなのである。
ハンモックの上に横になり、その網や布のたわみに身を任せる事により、この上なくゆったりとした脱力感を味わうことができる。ハンモックにくるまることにより、外部空間との穏やかなつながりを保ちつつ、自分だけの小さな内部空間を持つことができる。
しかし、このような長所にもかかわらず、長時間の睡眠に耐えうるだけの寝心地のいいハンモックは滅多に存在しない。ハンモックに長時間寝ていると腰や首が痛くなってしまうのだ。ハンモックというのは宙に浮いているだけに人の姿勢によってぐにゃぐにゃと動き、安定感がないのである。
第二に、ハンモックは寒い。特に網のハンモックでは上に何かを掛けても反対側が網なので寒いのである。したがって、基本的にハンモックは夏のものとされている。
しかし、わたしは冬もハンモックを楽しみたい。腰や肩の疲れないハンモックがあってもいいではないか。そういった理由により、私は今回ハンモックを作る決心をしたわけである。