不景気に作品を売ること

またまたこちらから要約 http://www.artbusiness.com/artists.html

 普通の状態でも作品を売るのは難しいことであり、不景気ならば尚更である。しかしアーティストとして生き残るために逆境の中でも生き抜く方法を見つけなければならない。どうしたらよいのか考えてみよう。

作品価格の調整
 作品の売れ行きが悪くなって困っているアーティストに提案するのは作品の価格の見直しである。もっとも私がこれを言うとディーラーやアーティストなどみんなから「値段を下げる!とんでもない!」という反応をされる。

美術作品も他のものと同じ商品の一つであり、値段も変動するものである。常に上昇し続けるとは限らず、下がることもある。お金の流れがスムーズで供給が安定しているときには値段が上がる、お金の流れが滞り倉庫に作品が溜まりがちになると値段は下がる。

最近ではデパートではバーゲンがおき、車も家の値段も下がっている。商売人は生き残るために何をするべきか分かっている。彼らのすることから学ぼう。作品の値段を下げることにより単純にあなたの作品が買い手にとって魅力的になる。厳しい時期には厳しい判断が必要な時もある。これは単純でなにも難しいことではない。

そして、作品の値段とアーティストとしての価値が同等だと思ってはいけない。それはただの記念碑的なエゴの塊であるだけでなく、上がり下がりの激しいアート業界で生き延びる能力を損ねる考え方である。もしあなたに$2,000の作品があったとして値段を$1,200に下げたとしても同じ作品だし、あなたは同じアーティストのままである。

「でもどうして作品の値段を下げたのかどう説明したらいいの?」とあなたは聞くだろう。しかし、不動産や株や他のものの値段が下がったのと同じ説明の仕方—最近の不景気のせい–で十分である。

 そして今あなたの作品の値段がお手ごろ価格になったからといってそれがまた元に戻らないということではない。例えば、あなたの作品を愛するコレクターが不景気でも作品を買い続けることが出来るように値段を下げたのだと説明しよう。これは今だけの一時的な措置でずっと続くわけではない、つまり今があなたの作品を買うのに一番良い時期なのである。こんな説明はどうだろう?

 ギャラリーでも似た様な説明をできる–「値下げは一時的なもので、今は難しい時代だけどみんながアートを好きなのは分かっているのでそれに答えて、みなさんのコレクションを充実させるために、作品の値段を一定期間だけ下げました。」など。

 作品の価格も需要と供給と経済状況によって変化するという事実を一度受け入れたら、あなたのアーティストとしての暮らしは楽になるだろう。何十年も市場を研究して価格の変動を見てきた私を信じて欲しい。他の人が経済的に苦しい時にも、作品の価格が同じか上がり続けると思ってはいけないし、不況時には人々は本当に良いものにしかお金を使わない。だから、必要ならば作品の値段を下げてでも、アート業界で生き残れるように準備しておこう。

不況時に収入を生み出すため、その他の価格関連の提案:
バイヤーにとって手の届く価格設定、例えば$500以下、時には$200以下など。小さな売り上げでも積み重なればたくさんになるということを忘れないで。

分割払いで売る。10人のバイヤーに毎週$50で販売したら毎月$2000受け取るという事を意味する。

作品をレンタルする。12個の作品を月々$30づつでレンタルしたら毎月$600受け取る事になる。すぐには売れそうにない作品をレンタルしよう。

作品と物々交換。成功しているアーティストは医者、歯医者、食事、日用品、家具、他のアーティストの作品と自分の作品を物々交換している。例えばレストランやカフェに作品を飾る代わりに一ヶ月分タダになるとか。家具や日用品など必要なものと作品を交換するなど。

作品を買おうとしている人がもしかしてあなたが必要としている何かお金の代わりに交換できるものを持っているかもしれないから聞いてみよう。

※私も作品の値段というものはずっと上がり続けなければいけないと思っていたので、これを読んで気が楽になりました。でも、最後の物々交換のアイディアは中国では無理な気がする…現金主義な国だし…

現代美術作家 シムラヒデミ
主に刺繍糸を素材に作品を制作するアーティスト。大学でファッションデザインを専攻、卒業後3DCG制作の仕事に就く。
2005年より現代美術作家としての活動を開始。デビュー直後にパリで個展を開催する等順調に海外での活動を広げる。2006年より社員旅行をきっかけに好きになった街、上海へ移住。それほど長く住むつもりではなかったものの、リーマンショックによる画廊閉鎖など予想外の展開に翻弄され、7年近く住んでしまう。
2013年12月日本帰国、埼玉県所沢市在住。引き続き現代美術作家として活動。現在、2025年のアーティスト活動20周年の為に作品を作り溜めている。

このブログではアート・文化・歴史に関する考察、自身の活動報告等を投稿しています。
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