アーティストの人だと一般的に美術関係の本はよく読んで知識を得ていると思うのですが、もし海外でアーティストとして生計を立てることを最終目標にした場合、アートについての深い知識を持っているだけではなくそれ以外の広範囲にわたる知識が必要になってきます。
まず第一に、海外ではアートはビジネスですので作品も売れる見込みがあるかどうかで判断され、ギャラリーも売れる見込みのある作品しか扱いません。(ギャラリーは作品の売り上げのみで運営しているので真剣なのです。)
アーティスト側にも一生作品を作って生きていく覚悟があるかどうか、そのための努力を絶え間なく続けることが出来るかどうかが試される事になります。
売るための作品という観点で話をすると嫌がる人がいまだに日本には結構いて、アートを純粋なものとしてとらえたいという気持ちは分かりますが、残念ながら海外での活動を視野に入れた場合、理想論だけではやっていけないのです。
それで、どんな本を読むべきかというと、まず第一にビジネス書です。
その理由はこちらのページ アーティストを目指すなら、ビジネス書を読んだほうがいい に書いてくれてあったので、こちらを読んでいただけばと思うのですが(手抜きですみません…)、例えば、ギャラリーというのがどのようなビジネスモデルで成り立っているのかという事を理解すると、展示の際にアーティスト自身に何を求められているのか?何を用意すればよいのか?等がおのずと分かるようになるというメリットがあると思うのです。
私自身の経験では、NYのアートフェアで展示した際に会ったギャラリーのスタッフやディーラー等に以前証券会社や銀行等金融関係の仕事をしていた人が結構いて、「もしNYでアート活動するとなるとこういうビジネスの超プロ!みたいな人たちと渡り合わなければならないのか?」と思って、当時海外のアート業界のことなど何も知らなかった私はかなり怖気づいたとともに、自分の知識の無さが恥ずかしいと思ったのでした。
後々考えてみると、美術作品のようなある日突然値が上がる可能性があるものを扱うのはとてもスリリングでワクワクすることでしょうから、金融のプロが惹かれるのは納得できます。
その後私は中途半端にヨーロッパと中国の入り混じった街「上海」に引っ越したわけですが、当時の私にはそれくらいの緩さが合っていたのではないかと思います。
とはいえ、上海のコマーシャルギャラリーのおそらく半数くらいは外国人オーナーで、中国人オーナーのギャラリーも運営方式は欧米型なので、一応緩いながらも海外式のアートビジネス環境の中にはいたのかも?と思います。
元々私はアートビジネスを学ぶためにビジネス書を読んだわけではなく、海外に住んでいると日本語の本が読みたくなり、周りにある日本語の本なら何でも読んでいたので、ビジネス書も読んでみたら意外と面白かったし役に立った!という感じです。
上海に住んでた日本人が帰国の時に本を残していくことが多く、それを友達同士で貸し借りしたりとジャンルは問わず色々読んでいたのですが、やはり企業で働くビジネスマンが多かったのでビジネス書・日中関連の本・政治経済・貿易の本等結構固い内容の本が多かったです。どれも私がそれまで読んだことのない内容の本ばかりでしたが、読んでみると面白く思いがけず読書の幅が広がりました。
あと、当時私はギャラリーで働いていて、オーナーさんからはアートビジネスについて・アート業界の仕組みについて等たくさんの事を教わりましたので、それが本で読んだ知識と結びついて私の中に根付いたという感じです。
ただ、今日本に住んでいて、その知識役に立ってるのか?と言われるとすごく微妙な感じですが、またいつかそのうち役に立つ時が来るでしょう。
どんなビジネス書を読んだらいいの?と思ったら、Amazonのレビューで人気があるような簡単で分かりやすいもので充分です。
あくまでもアートビジネスを理解するためのきっかけであり、ビジネスのプロ目指しているわけではないので、いきなり難しいのを読んで辛い思いをする必要は無いです。
分からないところはとりあえず読み飛ばすくらいの感じでいても、何年かたって色々経験した後に突然理解出来るようになる事もあります。
上述の アーティストを目指すなら、ビジネス書を読んだほうがいい で勧めている本も中々的を得ていると思います。
ただ、村上隆氏の「芸術起業論」については当たり前のごく初歩的な事だけ書いてあるので、図書館で借りてササッと読むくらいで良いのでは?と思います。
グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶは私も読みましたが、単純に面白いのでお勧めです。
ビジネス書以外にも読んだ方がいい本は色々ありますが、長くなっちゃったのでそれについてはまた今度書きます。
以下、最近作った作品の写真。凄い勢いで作ってます。