映画 マシューバーニー「拘束のドローイング9」 (とってもネタばれ)

 この手の映画は下手にコメントすると自分の底の浅さとかがあっさりばれるのでできれば感想は述べたくないところ…でも、観ちゃったんだからしょうがない

 何か(あとでお茶に使う茶器と判明)を箱に入れて包装してる場面に始まり、お茶会の前の入浴とか、髭剃りとか、阿波踊りの行列とか、船員たちが作ってた巨大な豆腐みたいなのとか、マシュー・バーニーはとっても儀式好きな人ね。
 大型船の中の茶室で茶を酌み交すうちに恋に落ちる二人の男女(マシューバーニーとビョーク扮する)。しかし、嵐がやってきて船の中はだんだん浸水していき、そして二人はなんと刀でお互いの足を解体していくのだが…とここまでは、江戸川乱歩の「陰獣」になんとなく似てるなあと思ったのですが。
 なんと二人にはジュゴンの尻びれみたいのが生えて人魚になっちゃったのでした。このようなファンタジーな展開になるのか!と思った次第。
 
 足の解体→尾びれが生えるが古いものを解体して新しいものが産まれるという意味だったとすると、ちょっと腑に落ちない。大陸的には古いものを壊した後に新しい文化が生まれるというサイクルが存在してきたかもしれない。日本の場合はちょっと違って古いものが妖怪のように変幻しつつ新しい物になっていくという在り方だから、きっと二人が日本人だったら足が段々尾びれに変形していくという形をとったのではないだろうか。
 しかし、もしかしてそこに「日本人よ古い殻を脱ぎ生まれ変われ」みたいなメッセージが含まれてたりするのかなー(いや、たぶんそれはないな)

現代美術作家 シムラヒデミ
主に刺繍糸を素材に作品を制作するアーティスト。大学でファッションデザインを専攻、卒業後3DCG制作の仕事に就く。
2005年より現代美術作家としての活動を開始。デビュー直後にパリで個展を開催する等順調に海外での活動を広げる。2006年より社員旅行をきっかけに好きになった街、上海へ移住。それほど長く住むつもりではなかったものの、リーマンショックによる画廊閉鎖など予想外の展開に翻弄され、7年近く住んでしまう。
2013年12月日本帰国、埼玉県所沢市在住。引き続き現代美術作家として活動。現在、2025年のアーティスト活動20周年の為に作品を作り溜めている。

このブログではアート・文化・歴史に関する考察、自身の活動報告等を投稿しています。
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