中国といえどもアート業界に関して言えば考え方もオープンなのでそれほど神経質になる必要は無いのですが、やはり中国なので気にした方が良い点がいくつかあります。なんとなく想像は付くと思うのですが、政治的な表現や日中関係の歴史に触れるような内容は避けたほうが良いです。私の作品も特に政治的な意味は含んでいないのですが、美術館で展示するときにタイトル「Silent Invader」がちょっと過激だということで展示のタイトルを変えたことがあります。
ギャラリーで展示する分には見に来る人もアート好きなので多少過激なコンセプトでも大丈夫なのですが、他のパブリックスペースで展示するときには色んな年齢の色んな考え方の人に見られるわけですから、内容によっては必ずしも好意的に見られるわけではないということを考慮しておく必要があります。とはいえ、ちょっと批判されたくらいでいちいちへこんでいてはやっていけませんからあまり気にする必要もないのですが、一応内容によっては批判されることもあるかもしれないということです。
特に大事だと思うのが、作品の内容をよく理解してもらうためと作品のコンセプトに対して余計な誤解を招かないためにも、作品のコンセプトを現地の言葉に翻訳したものをきちんと展示するべきです。上海の場合、中国語と英語の両方がいるのでちょっと面倒ですし、展示の準備で忙しかったりしてつい手抜きになってしまうのですが、一番大切なところだと思います。村上隆氏も日本人のアーティストは作品のプレゼンのための翻訳を軽視しすぎだと言っていましたが、その通りだと思います。言葉の通じない異国の地で展示する場合、現地の言葉で書かれた作品の説明文があればより作品を理解してもらえるわけですから、ちょっと翻訳代をかけてでも準備するべきだと思います。