作品が傷んで返ってきた時の対処方法

Hidemi Shimura

私の作品は基本的に壊れやすい作品ではないのですが、最近異国の地のギャラリーより昨年展示した作品が返ってきた際、額が傷んでいて額装をし直さないと!という事があったので、そういう場合どうしたら良いのか?を書いておきます。

基本的にネットで買い物したら届いた商品が壊れていた!という時と同じ感じなのですが、下のような流れになるかと思います。

  1. 開梱して傷んでるのに気づいたらすぐに写真を撮っておく事
    きゃー壊れてる!と思って慌ててしまい、直せるのかどうかあちこち触って見たりしてしまいそうですが、とりあえず落ち着いて荷物を開けてすぐの姿を色々な角度から数枚撮影しておきましょう。
  2. すぐにその写真をギャラリーに送って壊れてたから弁償して下さい、と請求しましょう。
    通常ギャラリーとの契約書内に「ギャラリーが作品を取り扱う過程で破損等があったら補償します。」という項目があるはずなので、作品破損の際は補償されるはずです。
  3. 作品の破損具合によって補償される額も変わると思うので、希望の金額を伝えて交渉しましょう。
    全壊だったら全額補償になると思いますが、一部破損の場合は壊れ具合によって話し合って決めるという感じになると思います。

私の場合、傷んでいたのは額だけで、小さい作品だったので額代も大したことは無かったので、画像を送って伝えたら特に問題無く弁償してもらえました。

でも、もし世界に一つしかない作品が壊れて返ってきてしまったらと想像すると、ぞっとします。
同じものは二度と作れないのであれば、お金で償ってもらえば気が済むという問題でもない気がします。

作品の破損を避けるためにアーティスト側が出来ることとしては、以下のような感じかと思います。

  1. 梱包用の箱等をすごくしっかり作って、最初に作品を送る際に梱包をすごく厳重にして送る=返送の際も同じ梱包材で送ってもらえば良い
  2. 壊れやすい作品なのでよく注意して扱うようにと、前もってよく伝えておく
  3. 契約書は細部をチェックし、作品の破損の際の対応について追加が必要であれば項目を追加してもらう=この人の作品は壊したら大変なことになりそうだというさりげないプレッシャーをギャラリーに与えておくと良いです(しつこいと嫌われるので嫌われない程度に)

海外のギャラリーが相手の場合は特に注意が必要です。

普段から作品を作ったり、手作りで物を作る事が好きな人にとっては意外だと思うのですが、ものづくりをしたことが無い人はどういう作品がどの程度壊れやすいのかという事を想像することが出来ない事があります。
また、ギャラリー側も必ずしも作品の取り扱いに慣れたスタッフばかりではなく、時にはバイトやインターン等の不慣れなスタッフが作品を取り扱う事もあります。

なので、壊れやすい作品を作っている人は「この作品は壊れやすいから気を付けて取り扱ってください」とよく伝えておく必要があります。

現代美術作家 シムラヒデミ
主に刺繍糸を素材に作品を制作するアーティスト。大学でファッションデザインを専攻、卒業後3DCG制作の仕事に就く。
2005年より現代美術作家としての活動を開始。デビュー直後にパリで個展を開催する等順調に海外での活動を広げる。2006年より社員旅行をきっかけに好きになった街、上海へ移住。それほど長く住むつもりではなかったものの、リーマンショックによる画廊閉鎖など予想外の展開に翻弄され、7年近く住んでしまう。
2013年12月日本帰国、埼玉県所沢市在住。引き続き現代美術作家として活動。現在、2025年のアーティスト活動20周年の為に作品を作り溜めている。

このブログではアート・文化・歴史に関する考察、自身の活動報告等を投稿しています。
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