パラレルワールドについて考える

パラレルワールドについて考える  Hidemi Shimura

ついこの間長く離れていた故郷である静岡県の富士宮市にひょんなことから行く事になり、十数年ぶりに遊びに行ってきたのでした。
実際行ってみた感じでは富士山が世界遺産になった効果か、非常に活気のある街になっており、新しい建物がだいぶ増えていました。
昔のままの部分と新しく出来た建物が混在する様子に私は非常に混乱し、衝撃を受け、「これってパラレルワールドに来ちゃった感じ!」と思ったのでした。

なぜ私がパラレルワールドを思い浮かべたかというと、私の作品の中に「パラレルワールド」というシリーズがあり、普段からしばしばパラレルワールドについて考えていたからでした。と言っても、パラレルワールドが実際あるのかも分からないし、行ったこともないからいまいち分からない感があったのです。しかし、今回久々に故郷に帰った感じが正にパラレルワールドってこんな感じ!という感覚で一気に自分の作品に対して合点がいったのでした。

パラレルワールドについて考える  Hidemi Shimura
パラレルワールド(SS_ml2)

パラレルワールドシリーズのコンセプト
環境を作りだすのは、われわれ自身である。われわれの生きる環境は、自分の価値にぴったり見合ったものなのだ
-リチャード・バック「ONE」より

この世界は本当に我々自身が望んだものなのか?それともどこかに私たちの理想の世界が存在するのか?そこで私たちは何をして暮らし、どんな景色を見ているのだろうか?

ここから下はちょっとシリアスな話。
私は今年の夏に親しかった友人を一人亡くし、今までの人生の中では今回も含め親しい友人を3人亡くしています。この3人という数字が一般的に多いか少ないかは分かりませんが、人間というものは必ずいつかは死ぬので、同じように親しい人を亡くした経験のある人はたくさんいると思います。
ただ、私の場合、もしパラレルワールドというものがあるのならば、亡くなった友人たちもその世界ではまだ生きていてくれているかもしれない、そう考えるだけでも少し救われるような気がしたものです。そして、きっと親しい人を亡くしたときに同じような事を考えた人が他にもきっといると思うのです。

誰かを亡くしたときに限らず、何か辛いことがあった時にも、パラレルワールドについて思いを馳せ、そこで自分は何をしているのだろうか?と考えると、少しだけワクワクして自分の世界が広がっていくような気がしてきます。
このパラレルワールドシリーズではそういう他の世界を想像してちょっとワクワクしたり、救われたりするような感じを表現したいのです。

というわけで、次回の個展のタイトルは「パラレル・ワールド」にする事に決めました。

まだ先の話ですが、5月に個展を行いますので皆さん乞うご期待です!
今回はインスタレーションが主体の展示となります。

gallery fu
神奈川県横浜市中区石川町1-31-9
2018年4月24日(火)〜5月6日(日)
12:00~20:00 日曜日は18:00まで 入場無料 月曜日休廊
WEBSITE

現代美術作家 シムラヒデミ
主に刺繍糸を素材に作品を制作するアーティスト。大学でファッションデザインを専攻、卒業後3DCG制作の仕事に就く。
2005年より現代美術作家としての活動を開始。デビュー直後にパリで個展を開催する等順調に海外での活動を広げる。2006年より社員旅行をきっかけに好きになった街、上海へ移住。それほど長く住むつもりではなかったものの、リーマンショックによる画廊閉鎖など予想外の展開に翻弄され、7年近く住んでしまう。
2013年12月日本帰国、埼玉県所沢市在住。引き続き現代美術作家として活動。現在、2025年のアーティスト活動20周年の為に作品を作り溜めている。

このブログではアート・文化・歴史に関する考察、自身の活動報告等を投稿しています。
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