私の友人が監督したフランスの庭師ジル・クレマン氏のドキュメンタリー映画「動いている庭 The Garden in Movement」を見てきました。かなりお勧めです!
池袋のシネマロサにて25日まで上映中です。あと少しで終わってしまいますが、またきっと関東でも上映されると思います。
監督が関西在住なため、関西近郊では良く上映されているので、是非スケジュールをチェックしてみて下さい。
ジル・クレマン氏は「できるだけあわせて、なるべく逆らわない」を信条に、出来る限り動植物を排除せず自然の意志に沿った庭造りをしている人です。彼の著書「動いている庭」は庭好きな人界隈ではちょっと話題になっていたので読んだ方もいると思います。
映画では実際彼の庭で撮影されたジル・クレマン氏自身の話を聞くことにより、彼がどうしてそういう思想に至ったのか?、実際はどういうふうに庭の手入れをしているのか?等が素直に伝わってきます。
ジル・クレマン氏の思想はかなり哲学的で深いのですが、その考え方は彼の庭に対する態度と同じく慎ましやかで押しつけがましい感じはしません。
彼の思想は造園の世界ではセンセーショナルだったらしく、多くの庭師に衝撃を与え、その結果多くの追従者が出てきているようです。ただ、最初は造園学校で習ったことと全く反対の事を実践しないといけなかったため、本人にも迷いがあったようです。しかし、庭を作るというのは何年もかかる根気のいる作業なので、少しずつ自分だけのスタイルを確立していった彼の意志の強さが感じられます。
そして、私自身が彼の言葉の一つ「すべての生物は進化し続ける」を聞き、彼の庭で自由に伸びていく植物を見て感じた事。
「植物は変化し続けるが変化する事を決して恐れないので好き勝手に伸びていく。人間も生物なので進化し続けるのは自然な事である。しかし、人間だけが変化する事を恐れる。人間だけが変に知恵がついてしまったため、先読みしすぎて変化する事を恐れてしまうのである。」
人間も植物のように自然のままに生きていければ良いのですが、それは人間社会においては結構勇気のいる事です。だから私たちは自然の中で好きなように伸びている植物を見ると元気が出るのかもしれません。
※2021年3月 ジル・クレマン氏と監督のエマニュエル・マレス氏による新しい著書「庭師と旅人 「動いている庭」から「第三風景」へ」が出版されていますので、ご興味のある方はこちらもどうぞ!