はじめての受注制作

 こないだの展示を見てお友達が作品を買ってくれることになったので、せっかくだから彼女のイメージする色で新しい作品を作ろう!っていうことになった。
 どういうことかというと私の作品に使う糸の色は色々な写真を見ながらその中の色を拾って巻いているのでその写真を用意してもらうのです。初の試みなのでとっても楽しみ。
 普段は自分できれいだと思った写真を選んで使っているのだけど、作品制作中に細かいところまで見ながらその写真の場所に行った気になったりしながら作ってます。その行為はデッサンする時に対象をしつこく見るという行為にとても似ていると思う。
 しかし、他の人が作品を作ってるときに感じるであろう葛藤とか自分との闘いとかそういうのは私が作品作ってるときには一切ありません。前はこんなの作ってもただのゴミになるんじゃないか?とか悩みもしたけど初めて作品が売れてからはそういうことは全然思わなくなったし。今ではまるで中国とかの工場で働いているかのようなひたすら手仕事による無心の反復行為のみがあるのでした。

現代美術作家 シムラヒデミ
主に刺繍糸を素材に作品を制作するアーティスト。大学でファッションデザインを専攻、卒業後3DCG制作の仕事に就く。
2005年より現代美術作家としての活動を開始。デビュー直後にパリで個展を開催する等順調に海外での活動を広げる。2006年より社員旅行をきっかけに好きになった街、上海へ移住。それほど長く住むつもりではなかったものの、リーマンショックによる画廊閉鎖など予想外の展開に翻弄され、7年近く住んでしまう。
2013年12月日本帰国、埼玉県所沢市在住。引き続き現代美術作家として活動。現在、2025年のアーティスト活動20周年の為に作品を作り溜めている。

このブログではアート・文化・歴史に関する考察、自身の活動報告等を投稿しています。
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