最近ずっと作品を作り溜めていて、新シリーズが誕生したのでご紹介します。
まだちゃんとした写真を撮っていないので、スマホで撮った画像になりますが、このような感じの作品です。
中心部は背部にアクリルミラーを使っているため、環境によって色合いが変わります。
タイトルは「Somewhat beautiful, but damaged -美しくて傷んでいるもの-」です。
このシリーズは、主にコロナ渦中に誕生した以下の2つのシリーズ
Memory Engrams |
Boundaries |
を組み合わせたような技法を駆使した新しい作品です。
大型なインスタレーションにも展開可能な構造を意識して制作しました。
現時点でのコンセプトは、
この作品は、
人間は、その周囲の環境や状況に影響を受けながらも、
現代社会において、経済的な不安、社会的な緊張、
というものです。コンセプト文は後でまた練り直すかもしれませんが、大体このような意図です。
このコンセプトは、「Morning Dawn」シリーズのコンセプトを発展させたような意味合いを持っています。
Morning Dawn |
その内容とは、
ある日の夕方、とある駅前にて若い男性がタバコを吸いながら「死ね、死ね、死ね」と呟いているのを見かけました。私は、この人病んでる…と思うと同時に、大変な世の中になってしまった!と思ったのでした。
私は彼の呟きを世の中に対する抗議の声として受け止め、この作品を制作しました。
朝焼けというものは不思議なもので、いつも同じ太陽なのに、場所、気温、天候などによって色がまったく違って見えます。それと同じように、私たちはこの世でそれぞれ違う場所にいて、それぞれ違う幸せや悩みと共に生きているのです。
朝焼けを見ると、私たちは癒され、励まされた気持ちになります。この作品を見た人たちが、これから上っていく太陽を見たときのような、そっと励まされたような気持になってくれればと思います。
というものでした。
正直、私はイライラしている人を街中で見かけても、通常は「何この人こんなに怒ってるんだろう?ちょっと心が不安定な人なのかな?」と思ってしまいますが、この作品を作った頃は、なぜか街中でそういう人を見かけることが多く、このままでは住みにくい世の中になってしまうと感じました。
しかし、人の在り方というのは周りの環境によって影響を受けるもので、そのイライラしている人たちも本来は穏やかで善良な人々かもしれないのに、不安定な社会環境によって一時的に怒りっぽい人になっているだけかもしれないと感じました。
私は彼らのイライラは世の中に対する抗議の声である、と受け止め、私の作品の主な技法である糸をひたすら巻き付けるという、忍耐力が必要で本来イライラするような作業である行為により、彼らのイライラを作品に昇華してみたのです。
しかし、その後コロナ禍を経て、世の中はますます不安定になり…という事で、今回さらに新しいシリーズを作ってみた次第です。
現在このシリーズは作品1点しかありませんが、追加で制作していきます。
また、しばらく作品を作り溜めて、作品のストックが増えてきたので、それについてもまた書こうと思います。