今年の”SH contemporary”は延期です

今年の"SH contemporary"は延期です  Hidemi Shimura

Art Raderの記事によると今年の SH contemporary はスケジュール調整の都合により延期だそうで、2014年以降の予定については公式サイトにて発表するとの事。

SH contemporary は欧米とアジアのアーティストの作品が一度に見られる上海ではとても貴重な機会でした。特に普段あまり見られない東南アジアのアーティストの作品が見られ、その素材の使い方・テーマなどはユニークで新鮮でした。

今年の延期の背景には経済的な要因も大いに関係しているようですが、SH contemporary は2007年のまさに世界的にコンテンポラリーアートブーム(特に中国アート)が続いている時に第1回が開催され、その後の不況を経て今回の延期に至るという感じです。

既に数年前から売り上げがあまり伸びないので今年はないかもしれないという噂をいつも聞いていたので、むしろ去年まで良く頑張ったと言えます。SH contemporary は海外からの出展者がほとんどですが、不況のため中国に住む外国人が減っていること、上海から作品を持ち出す時の関税の問題(大きい作品は売れにくくなる)、中国人は中国人アーティストの作品を好んで買うので海外から作品を持ち込んで出展するメリットが少ない、など色々難しい要因もありました。

上海のアートフェアというともう1つ上海アートフェアがありますが、そちらは正直に言って作品のレベルがあまり高くないので(出展した事はありますが…)ここ数年見に行っていません。ですが、地元のギャラリーからの出展が多いのでもともと中国に顧客を持っている彼らにとっては作品が販売しやすいという利点があります。

つまり、SH contemporary への出展者は現地の地元との結びつきの強いギャラリーがライバルになるわけで、コネが大事にされる中国でほとんど作品の良さだけで勝負しないといけないと言う難しい状況に立たされるわけです。(とはいえ、普通はアートフェアって作品の良さで勝負する類のものだと思うけど…)

たぶん、このままのやり方ではうまくいかないので今年は一旦延期にしてみて何か良い解決策を考えようといった感じなのだと思いますが、来年からまたSH contemporary が無事に開催される事を希望します。

去年のSH contemporaryの写真が少しあったので載せておきます↓

現代美術作家 シムラヒデミ
主に刺繍糸を素材に作品を制作するアーティスト。大学でファッションデザインを専攻、卒業後3DCG制作の仕事に就く。
2005年より現代美術作家としての活動を開始。デビュー直後にパリで個展を開催する等順調に海外での活動を広げる。2006年より社員旅行をきっかけに好きになった街、上海へ移住。それほど長く住むつもりではなかったものの、リーマンショックによる画廊閉鎖など予想外の展開に翻弄され、7年近く住んでしまう。
2013年12月日本帰国、埼玉県所沢市在住。引き続き現代美術作家として活動。現在、2025年のアーティスト活動20周年の為に作品を作り溜めている。

このブログではアート・文化・歴史に関する考察、自身の活動報告等を投稿しています。
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