この作品は、人々の人生とそのアップダウン、個々の人生を変える予測不可能な力を表現しています。
カラフルなギザギザ部分は人生の波を表し、その周りに張り巡らされた糸は、周りから加えられる予期せぬ力を表現しています。
人生のアップダウンについて考えると、時として、一見不幸な出来事が次に起こる幸運の予兆であったり、逆にラッキーなことが不幸の始まりだったり、物事の良し悪しというのはすぐには判断できないものです。人生は、度重なる無数の出来事から成り立っており、個々の出来事から単純に好不調を判断する事も難しいです。
現代の情報が溢れている社会において、SNS等で容易に他人の暮らしを垣間見ることが出来、人々は幸せというものを他人のものさしに当てはめて短絡的に判断しがちです。しかし、幸せそうに見える人が実は大きな悩みを抱えていた事を後から知る、というような事はよくあります。
私たちは、いつの間にか表面的な情報だけで他人を判断し、その人の本質と向き合う事が出来なくなっているのかも知れません。しかし、表面的にどのように見える人であれ、人生の波にもまれながら生きている一人の人間なのです。
この作品の美しさはランダムな波型のフォルムの美しさによるものであり、人生というものもアップダウンがあるからこそ最後に振り返ったときに感慨深くなるのだと思います。
この作品では一人一人の人生を、カラフルな作品として視覚化する事により、どんな人生であれ、全ての人生は美しいという事を表現しています。