アートと行動経済学② アンカリング効果と価格設定

アートと行動経済学② アンカリング効果と価格設定 行動経済学, 現代美術, アンカリング効果, アートと行動経済学, アーティストのための色々, contemporaryart Hidemi Shimura

去年辺りから流行っている行動経済学について、「アートと行動経済学は意外と関係があるらしい」という事をアーティストの目線から検証していく記事、2件目は「アンカリング効果と価格設定」についてです。1件目の「アートと行動経済学① 所有効果とアートのサブスクサービス」もどうぞ。2件目以降はChatGPTの力も借りて、様々な内容をまとめていきます。

以下、アンカリング効果と価格設定について:
アンカリング効果とは、最初に提示された情報がその後の判断に強く影響を与える現象です。例えば、ある絵画の価格を最初に高く設定すると、その後に見る絵画が比較的安く感じられるというものです。これを上手に活用することで、ギャラリーでの展示やオンライン販売における作品の価値を効果的に伝えることができます。

例えば、展示の最初に非常に高価な作品を配置すると、この作品がアンカーとなり、その後に見る作品の価格が相対的に低く感じられ、来場者は「この価格なら手が届くかもしれない」と感じ、購入意欲が高まります。

具体例を挙げると、ある展示で一番最初に200万円の大作を展示するとします。その後に10万円の作品を展示すると、これらの作品が非常にお買い得に感じられるのです。実際に、最初に高価格の作品を提示することで、その後の中価格帯の作品の売れ行きが向上するというデータもあります。

オンラインギャラリーでも、ページ上部に最も高価な作品を配置し、その後に他の作品を紹介する、という同様の手法を使えます。

また、アンカリング効果を利用するもう一つの方法は、「比較セット」を用意することです。例えば、ある作品を単独で提示するのではなく、他の高価格の作品と一緒に展示することで、その作品の価値が相対的に高く感じられるのです。これにより、購入者は「このセットの中ではこの作品が一番お得だ」と感じやすくなります。

以下、私からの考察:
展示用に作品のリストを作成する時、なんとなく価格の高い順にしていましたが、「理由はよく分からないけどアート業界ではそういう習慣になってるのだろう」くらいに考えていました。
が、一応上記のような理由があってのことだったのかもしれません。

上の文章だと、一番最初に大作を展示すると良いと書いてあるけど、それを見て怖気づいた人たちが展示に入ってこない、という事もあるのでは?と私は思いました…
なんとなく作品は色々なサイズがあった方が比較対象があって良いらしい…とでも覚えておけば良いのではないかと思います。
大きい作品は目を引くので、アイキャッチ効果があるから、単純に何点かあった方が良いというのは分かります。

個人的には、小さい作品がたくさん展示してあるような展示の仕方も好きです。たとえ大作が無くても、小さいものがたくさん集まる事により、メッセージ性があって吸引力のある展示を作ることが出来ると思うし、上記のアンカリング効果についての文章はあくまでも知識としての参考程度の事であって、それに無理矢理合わせて作風を変えたりすることは無い、とは思います。

次回は、「選択のパラドックスと展示構成」について書きます。

その他のアートと行動経済学に関する記事は https://hidemishimura.com/tag/behavioral-economics/ より是非見てみて下さい。