個展ができるまで⑩-搬入・設営は時間との勝負

個展ができるまで⑩-搬入・設営は時間との勝負 現代美術, シムラヒデミ, hidemishimura, fiberart, contemporaryart Hidemi Shimura

個展をセルフプロデュース型で開催する場合の手順をシリーズ記事として説明しています。

前回の「個展ができるまで⑨-プレスリリースと広報」では、展示情報をどのように発信したのかについて書きました。
今回は、いよいよ搬入・設営について書いてみたいと思います。


搬入日は想像以上に忙しい

展示が始まる前日、または数日前に行うのが搬入・設営です。
作品を運び込んで壁に展示すれば終わり、というイメージを持たれる方もいるかもしれません。

しかし実際には、限られた時間の中で多くの作業を同時に進めなければなりません。
作品の搬入、開梱、展示、照明調整、最終確認。
会場によっては設営時間が数時間しかないこともあり、搬入日は時間との勝負になります。


忘れ物は致命的になることもある

私は搬入前に、持ち物リストを作って一つずつ確認するようにしています。
作品だけでなく、工具、予備の金具、延長コード、清掃用品など、細かなものも必要になります。

会場に展示用の備品が用意されていることもありますが、特殊な展示方法の場合は自分で準備しなければならないこともあります。
「これくらい大丈夫だろう」と思っていたものが、当日になって必要になることもあるので、事前の確認はとても大切です。
当日に新たに必要なものが出てきて、近くの画材屋やホームセンターに買いに行くということも時々あります。


レイアウトは最後まで変わる

展示レイアウトは、事前にIllustratorで何度も検討していました。
それでも実際に作品を並べてみると、
「もう少し間隔を広げた方がいい」
「こちらの作品を入口側に移動した方が見やすい」
など、その場で変更することも少なくありません。

図面では分からないことが、実際の空間では見えてきます。
そのため、レイアウトは最後まで柔軟に考えるようにしています。


国やギャラリーによって設営の進め方は違う

私はアーティストになって比較的早い時期に上海へ移住したため、日本での展示の進め方をあまり知らないまま海外で活動を始めました。上海で展示をしていた時は、ギャラリー側が設営スタッフを用意してくださることが多く、私は作品の配置や細かな調整を行うことが中心でした。

そのため、日本では作家自身が搬入や設営に大きく関わることがあると知った時は少し驚きました。同時に、自分の設営に関する技術の無さにも直面することになりました。

もちろん、ギャラリーや展示内容によって進め方はさまざまです。
ただ、搬入・設営は作品を展示するための大切な仕事であり、同時に体力も必要な作業だと改めて感じています。


手伝ってくれる人の存在

作品を運んだり、大きな作品を設置したりする時は、一人では難しい場面もあります。
特に設営時間が限られている場合は、事前に手伝ってくださる方の予定を確認しておくことも大切です。

若い頃は友人同士で手伝い合うこともありましたが、年齢を重ねると、お互い仕事も忙しくなり、平日にお願いすることが難しくなってきます。また、搬入や搬出は思っている以上に体力を使う作業なので、年齢と共に中々気軽には頼みにくくなってくるな…と感じています。

私自身も、最近は「無理をせず、お金を払ってでもお願いできるならお願いしたい」と思うことが増えました。


もっと気軽に頼める仕組みがあったら

日本にも展示設営を依頼できる会社はあります。ただ、個人のアーティストが気軽に利用するには、費用面で難しい場合もあります。

数時間だけ設営を手伝ってもらえるようなサービスが、もっと手軽に利用できるようになれば、多くのアーティストにとって大きな助けになるのではないかと思います。

作品制作だけでなく、搬入・設営にも専門性があります。だからこそ、設営を支える人や仕組みがもっと増えていくと良いなと思います。


ギャラリーの仕事を改めて実感する

ギャラリーで働いていた頃は、搬入・設営も日常業務の一つでした。
でも、自分で個展を企画し、作品を制作し、広報し、その上で設営まで行ってみると、その大変さを改めて実感しました。

来場者から見ると、展示は最初から完成しているように見えるかもしれません。
しかし、その裏では多くの人が限られた時間の中で動き、展示空間を作り上げています。

個人的には、デパートなど商業施設での展示設営が一番大変でした。営業時間外なので、時間帯が早朝・深夜になることもあり、時間も非常に限られているからです。

次回は、「会期中に行う事」について書いてみたいと思います。

現代美術作家 シムラヒデミ
主に刺繍糸を素材に作品を制作するアーティスト。大学でファッションデザインを専攻、卒業後3DCG制作の仕事に就く。
2005年より現代美術作家としての活動を開始。デビュー直後にパリで個展を開催する等順調に海外での活動を広げる。2006年より社員旅行をきっかけに好きになった街、上海へ移住。それほど長く住むつもりではなかったものの、リーマンショックによる画廊閉鎖など予想外の展開に翻弄され、7年近く住んでしまう。
2013年12月日本帰国、埼玉県所沢市在住。引き続き現代美術作家として活動。現在、2025年のアーティスト活動20周年の為に作品を作り溜めている。

このブログではアート・文化・歴史に関する考察、自身の活動報告等を投稿しています。
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