個展ができるまで⑨-プレスリリースと広報

個展ができるまで⑨-プレスリリースと広報 現代美術, シムラヒデミ, hidemishimura, fiberart, contemporaryart Hidemi Shimura

個展をセルフプロデュース型で開催する場合の手順をシリーズ記事として説明しています。

前回の「個展ができるまで⑧-ステートメントを書くときに私が気を付けていること」では、作品説明文(ステートメント)の書き方について書きました。

今回は、展示情報をどのように知ってもらうのか、私が行った広報について書いてみたいと思います。


プレスリリースとは?

プレスリリースとは、展示やイベントの情報を新聞社やWebメディア、アート情報サイトなどに紹介していただくための資料のことです。
必ず作らなければならないものではありません。実際、プレスリリースを作らないギャラリーやアーティストの方もたくさんいます。

私はギャラリーで働いていた時にプレスリリースを作成する機会があり、その経験もあって、自分で個展を開催する時もできるだけ作るようにしています。
展示内容を整理することにもつながるので、個人的にはとても大切な工程だと思っています。


まずは掲載先をリスト化する

プレスリリースを書いたら、次は掲載先を探します。
展示情報を紹介していただけそうなWebメディアやアート情報サイト、美術情報誌などをリストアップすることから始めます。
私は前からある程度リストを作ってあったのですが、個展のためにさらに調べて追加しました。

掲載方法もさまざまで、
・メールで送るところ
・専用フォームから投稿するところ
・有料のプレスリリース掲載サービス
などがあります。

また、送れば掲載していただける媒体もあれば、審査がある媒体もあります。


プレスリリースを書く事は展示内容を整理する事でもある

私は、プレスリリースを書くことは広報だけが目的ではないと思っています。
「今回の展示では何を伝えたいのか」
「この展示の見どころは何なのか」
「どういう方に見に来てもらいたいのか」
ということを、自分自身が改めて整理する時間でもあります。

文章を書いているうちに、
「ここはもっと詳しく伝えたい」
「この表現は分かりにくいかもしれない」
と、色々迷いながら書くので、かなり時間がかかります。


Webページや動画も活用する

今回の個展では、公式サイト内に展示の特設ページも制作しました。
日本語だけでなく、英語、中国語のページも用意しています。

展示終了からしばらく経ってアクセス数を確認したところ、思ったよりも多くの方にご覧いただいていて、自分でも驚きました。
また、展示紹介のYouTube動画も制作し、特設ページの中に動画を埋め込んだり、URLを掲載したりしました。

文章だけでは伝わりにくい展示の雰囲気も、動画があることでより伝わりやすくなったように感じています。

特設ページは、展示期間だけでなく会期終了後も展示内容や作品を紹介し続けられる場所として、作って良かったと思っています。


私はDMの代わりに広告へ予算を回しました

以前は個展のDMを郵送することが一般的でした。
現在でもDMを大切にしているギャラリーや作家の方は多いと思います。

一方で私は、今回はDMの郵送は行わず、会場で自由に持ち帰っていただけるフライヤーだけを制作しました。
その代わり、DMの印刷や発送にかかる費用をInstagram広告などの広告費へ回しました。
また、展示が近づくにつれてSNSで制作風景や展示情報を発信し、展示直前には広告も利用しました。

私の場合はこの方法が合っていましたが、作品のジャンルやターゲットによって、DMを中心にした方が効果的な場合もあると思います。
限られた広報予算をどこに使うかを考えることも大切だと感じました。


広報も作品制作の一部

広報というと、「宣伝」というイメージが強いかもしれません。
でも私は、自分の作品と出会っていただくための大切な活動だと思っています。
どれだけ時間をかけて作品を制作しても、その存在を知ってもらえなければ、見てもらう機会は生まれません。

作品を作ること。
そして、その作品を必要としている人へ届けること。
その両方があって、初めて個展は完成するのだと思います。

次回は、「搬入・設営は時間との勝負」について書いてみたいと思います。

現代美術作家 シムラヒデミ
主に刺繍糸を素材に作品を制作するアーティスト。大学でファッションデザインを専攻、卒業後3DCG制作の仕事に就く。
2005年より現代美術作家としての活動を開始。デビュー直後にパリで個展を開催する等順調に海外での活動を広げる。2006年より社員旅行をきっかけに好きになった街、上海へ移住。それほど長く住むつもりではなかったものの、リーマンショックによる画廊閉鎖など予想外の展開に翻弄され、7年近く住んでしまう。
2013年12月日本帰国、埼玉県所沢市在住。引き続き現代美術作家として活動。現在、2025年のアーティスト活動20周年の為に作品を作り溜めている。

このブログではアート・文化・歴史に関する考察、自身の活動報告等を投稿しています。
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