3月のタグボートアートフェアで展示した新シリーズ「Memory Engrams -記憶の痕跡-」は、実は去年11月1日に愛猫ネネコさんが病気で亡くなったのがきっかけに誕生したシリーズです。
↑Memory Engrams インスタレーション
Memory Engrams 平面作品
Memory Engrams コンセプト
私が上海に住んでいた時に子猫だったネネコさんを拾い、日本帰国の際も連れて帰ってずっと飼っていました。
私がアーティストになって16年、ネネコさんはあと少しで14歳だったので、私のアーティスト歴のほとんどはネネコさんと一緒だったのです。
拾った時からネネコさんは私の事がなぜか大好きで、作品を作る時も、よく膝の上に乗っていて、太っていたので重くて大変でした。
PCを使う時も、キーボードを打つ私の手首を枕に寝てしまうので重かったですが、とても可愛がっていました。
しかし、病気で一時は回復しかけたものの、また悪化して私の膝の上で死んでしまい、凄まじくショックでした。
正直ペットロスを理由に作品を作るのは馬鹿げていると思われても仕方がないと思いましたが、以前から大きなぬいぐるみのような作品を作りたかったので、作ってしまいました。
コロナ禍中に命の重さについて考えた方もたくさんいたと思いますが、ここ数年は感染者の増減と共にコロナに対する認識も目まぐるしく変化しました。
と、同時に、命の重さをどう捉えるかの判断を常に迫られていたような気がして、とても疲れました。
無言の同調圧力によって、独自の見解を表明することが憚られた感じもあり、鬱屈した気分になったりもしました。
そんな中、たかが猫1匹のために2メートルもある作品を作る事により、小さな命の重さを問いかける、という意味もありました。
通常、インスタレーション作品はギャラリーからは敬遠されるので(売れないので)展示プランを提出した時にちょっとは止められるかと思いましたが、特に何も言われず、制作完了し、展示に至った次第です。
結果的に、新しい表現方法を得る事に繋がり、やはりネネコさんは私のインスピレーションの源として私の中に残っていくのだと思いました。
作品は来年ネネコさんの故郷上海に持って行って展示する予定です。