個展ができるまで⑥-作品制作が終わっても個展は始まらない

個展ができるまで⑥-作品制作が終わっても個展は始まらない 現代美術, シムラヒデミ, hidemishimura, fiberart, contemporaryart Hidemi Shimura

個展をセルフプロデュース型で開催する場合の手順をシリーズ記事として説明しています。

前回の「個展ができるまで④ー個展当日から逆算したスケジュール例」では、個展の規模や作品数の考え方について書きました。

個展を準備していると、どうしても作品制作に意識が向きます。

私自身も、展示前は
「あと何点作れるだろう」
「この作品は間に合うだろうか」
と考えながら過ごしています。
そして無事に作品が完成すると、少し安心します。

しかし実際には、作品が完成しただけでは個展は始まりません。
むしろここからが忙しくなることもあります。


予定通りに完成するとは限らない

前回の記事では、会場の平面図を使って展示レイアウトを考える方法を書きました。

ただし、そのレイアウト通りに展示できるとは限りません。
なぜなら、予定していた作品が完成しないこともあるからです。

制作途中で思ったような仕上がりにならずに中止することもありますし、単純に時間が足りなくなることもあります。
逆に、新しいアイデアを思いついて、予定になかった作品を制作することもあります。

そのため、展示直前になるとレイアウトを修正することも少なくありません。
展示計画は大切ですが、実際にはかなり柔軟に変更しながら進めています。


額装という大仕事

作品が完成した後、まず必要になるのが額装です。
私は糸を使った作品を制作しているため、額装作業にもかなり時間がかかります。
繊細な作品が多いため、額装も自分でしています。毎回予想以上に時間を取られます。

額装も外注していたことがありましたが、少し位置がずれていたり、斜めだったり、ほこりが入ってしまっていたり、結局自分で直さないといけなかったため、外注するのはやめました。
個人的には額装が一番苦手です。
展示前になると、額装作業の頃が一番情緒不安定になります。

ただ、絵画や立体作品など、額装が不要なタイプの作品も多いですね。それは正直うらやましいです。


撮影も重要な仕事

額装が終わると、次は作品撮影です。

告知やSNS、作品リストやオンライン掲載、販売資料など、撮影した画像を使う場面は意外とたくさんあります。

特に糸を使った作品は光の反射や質感の表現が難しく、ライトの設置を作品ごとに変えたり、ミラーを使った作品は、映り込みを防ぐような設置も必要ですし、撮影は自分が想像した以上に時間がかかります。
忙しくなると、「この作品を撮影し忘れていた」ということも起こります。

撮影がどうしても苦手な人は、撮影もプロに頼むことは可能です。撮影への立ち合いは必要ですが、自分で撮影するよりも時間はかからないです。
色味の調整などもやってもらえるので、その点でも安心ですが、撮影から画像が届くまで数日かかることもあるので、撮影日も余裕を持ったスケジュールにしておくのが安心です。


タイトルや作品情報を作る

作品が完成した後には、

  • タイトル
  • サイズ
  • 素材
  • 制作年
  • 価格

などの情報も整理しなければなりません。

さらに作品リストやキャプションも作成します。

作品を作ることと、それを整理して人に伝えることは全く別の作業です。

地味ですが、展示や販売には欠かせない重要な工程です。


終わったと思った頃が一番忙しい

以前は、準備がぎりぎりになって、搬入前日に徹夜をすることも珍しくありませんでした。
今振り返ると、まだ体力があったんだなと思います。

最近は以前よりスケジュール管理を意識するようになり、徹夜するのはやめました。それでも個展直前は慌ただしくなります。

作品制作が終わると安心してしまいがちですが、実際にはそこから額装、撮影、作品情報の整理、告知など、多くの作業が待っています。

だからこそ、作品制作はできるだけ余裕を持って終わらせておくことが大切だと毎回感じています。

もっとも、それがなかなか難しいのですが。


個展は作品を作って終わりではありません。

作品を展示できる状態に整えて初めて、ようやくスタートラインに立つことができます。

次回は、「作品タイトルとステートメントを書く」について書いてみたいと思います。

現代美術作家 シムラヒデミ
主に刺繍糸を素材に作品を制作するアーティスト。大学でファッションデザインを専攻、卒業後3DCG制作の仕事に就く。
2005年より現代美術作家としての活動を開始。デビュー直後にパリで個展を開催する等順調に海外での活動を広げる。2006年より社員旅行をきっかけに好きになった街、上海へ移住。それほど長く住むつもりではなかったものの、リーマンショックによる画廊閉鎖など予想外の展開に翻弄され、7年近く住んでしまう。
2013年12月日本帰国、埼玉県所沢市在住。引き続き現代美術作家として活動。現在、2025年のアーティスト活動20周年の為に作品を作り溜めている。

このブログではアート・文化・歴史に関する考察、自身の活動報告等を投稿しています。
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